A/Bテストとクラウドソーシングの融合が切り拓く新たな未来【Kaizen Platform, Inc. 様インタビュー】


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2013年3月に設立されたKaizen Platform, Inc. は、本社を米国カリフォルニア州におくユニークなスタートアップで、ウェブサイトをA/Bテストを用いて継続的に改善(KAIZEN)していくプラットフォームサービス「Kaizen Platform」を提供している。彼らのサービスコンセプトやその特長に迫るべく、東京オフィスへ直撃取材した。

A/Bテストをより簡単に、よりスピーディーに

「A/Bテストを単に実施するためのツールを作るのではなく、企業様が成果を上げていく仕組み(Growth Platform)を作りたいんです。」そう語るのは、Kaizen Platform, Inc. の北祐一氏。本ブログでも取り上げたA/Bテストは、ウェブサイトやメールを改善していくための有効な手法であり、現在多くの現場で実践されている。しかしいざA/Bテストを実施しようとしても、そう簡単にはいかないのが実情だ。

例えば、自社のランディングページ(LP)のコンバージョン率を向上させるのにA/Bテストを活用する場合、まずは現在のLP(A案)に対する改善案(B案)を作成する必要がある。しかし改善案の作成は、なかなか簡単にできるものではない。社内制作ではなく、社外のデザイナーや制作会社に発注をし、HTMLやCSSのコーディングまで頼むとなると、それなりの時間とコストがかかってしまうだろう。

改善案ができたら実際にA/Bテストを実施するわけだが、ここではLPへのアクセスをランダムに振り分け、ユーザーの行動を追跡してコンバージョンに至ったかどうかを集計する仕組みを構築し、実装しなければならない。そのためにはシステム部門と調整したり、あるいは社外の委託先へ依頼したりする必要がある。

このように、A/Bテストを実施するには時間とコストがかかる。そしてまたA/Bテストを効果的に実施して、具体的な改善へとつなげていくためには、何より知恵と経験が必要となる。

「A/Bテストをより簡単に、よりスピーディーに行えるようにしたい。短期間で成果を上げて、改善のサイクルを重ねていくことで、企業の持続的な成長を支えていきたい、そう考えています。」と北氏は語る。

A/Bテストをより簡単に、よりスピーディーに。そんなコンセプトのもと、Kaizen Platformには様々な工夫がなされている。それらをまとめたのが下表である。

表:A/Bテストの流れとKaizen Platformの特長

フェーズ 主な項目 Kaizen Platformの特長
Plan 目標の設定
改善仮説の策定
・改善箇所の抽出
・改善パターンの作成
A/Bテストの設計(方法や期間等)
オファーシート
グロースハッカーへのオープンオファー
UIエディター
Do A/Bテストの実施
・改善パターンのランダム表示
・行動の追跡と集計 等
シンプルなJavaScriptコード
Check 効果検証
・仮説検定 等
リアルタイム集計
t検定による有意差判定
Act 有効なパターンの反映 スコアの高い案を自動的に表示
Plan 改善箇所/パターンの絞り込みと追加
継続的なフォロー
結果の共有と蓄積

直観的にわかるインターフェイス、シンプルなJavaScriptコード

上記の特長の中でまず紹介したいのが、直観的にわかるインターフェイスだ。コーディング技術がないマーケティング担当者であっても、わかりやすいUIエディターによってサイトをカスタマイズすることができる。一方で、開発者やデザイナーが、より細かくチューニングするためにHTML、CSS、jQueryを編集することにも対応している。

Kaizen PlatformのUIエディター
図:Kaizen PlatformのUIエディター(Kaizen Platformオンラインヘルプより)

また、A/Bテストを実施する際、もとのサイトに埋め込む必要があるのは、たった1行のJavaScriptのコードだけだ。これにより、もとのサイトのURLへ遷移してきたユーザーに、効果の比較対象となるパターンが、Kaizen Platformのシステムから自動的に提示されるようになる。各パターンのテスト結果は自動的に集計され、オリジナルの案を100とした時のスコアという形で表示される。効果測定のために、担当者が数字と格闘して多くの時間を費やす必要はない。

「テストが開始された時から、すでに改善がはじまっているのです。」

そう話すのは、Kaizen Platform, Inc. CEOの須藤憲司氏。Kaizen Platformでは、A/Bテストの期間中でも、スコアの高いデザインが多く表示されるよう設計されており、テスト結果を待たずして、サイトの改善を行うことが可能となっている。

テスト結果の検定についてたずねたところ、「検定をすることと効果を最大化するということはトレードオフの関係になってしまいます。検定はテストの有効性をはかるものなので、大して差のないテストはいつまで経っても有意差が出ません。具体的に改善したいのであれば、そういうテストはすぐに止めて、次々ともっとアグレッシブにやった方がよいと考えています。」(須藤氏)という答えをいただいた。確かに、微妙なテスト結果の検定やその解釈に時間をかけるよりは、検定する必要もないくらいの目に見える成果を出すべく、次のテストにどんどん取り掛かるべきだろう。そのための簡単なプラットフォームが用意されているわけなのだから。

知恵の結集と結果の共有が創る成長のスパイラル

A/Bテストを簡単に行うための多くの工夫に加え、他のサービスには無い斬新な仕組みが、グロースハッカーへのクラウドソーシングだ。Kaizen Platformは、A/Bテストを行うために必要なエディターや解析ツールを備えたツールであると同時に、世界中に散らばるA/Bテストの専門家、グロースハッカーに問題解決の依頼が可能なクラウドソーシングサービスでもある。この優れたツールとユニークなサービスを一体となって提供していることが、Kaizen Platformの最大の強みといえる。

具体的に見ていこう。Kaizen Platformには「クライアント」モードと「グロースハッカー」モードの2つのモードがある。これらは、ダッシュボード上で簡単に切り換えることが可能だ。「クライアント」モードでは、改善したい案件、例えばランディングページのコンバージョン率向上などについて、クライアントとしてオファーを出すことができる。一方、「グロースハッカー」モードでは、クライアントのオファーに対して、実際にデザイン案を作成して、投稿することができる。クライアントは、集まったデザイン案からいくつかを選択してA/Bテストを実施する。A/Bテストの結果、もともとのデザインよりスコアが高かったデザインに対して、より報酬が支払われる仕組みだ。

クライアントとグロースハッカーのマッチングという斬新なサービスを実現するには、様々な課題があったという。そしてそんな困難を、Kaizen Platformは両者の間に入りながら、丁寧に、そして着実に、一つ一つ乗り越えてきた。

「我々が定義しているグロースハッカーとは、Kaizen Platformを使ってクライアントに改善案を提供して成長を支援できる人のことで、デザイナーだけを指している訳ではありません。」Kaizen Platform, Inc. の栄井徹氏はこう語る。「グロースハッカーの数を確保すると同時に、そのクオリティを保っていくことが特に重要であると考えています。」

多彩なグロースハッカーの数と質を確保するために、Kaizen Platformには、A/Bテストの結果を、クライアントだけでなく、グロースハッカーにも共有される機能が備わっている。グロースハッカーに様々な知恵やノウハウがたまっていけば、クライアントのオファーに対して、より良い提案をすることが可能となる。そうすればオファーももっと増えて、より多くのA/Bテストが行われ、それが更に新たな知恵とノウハウを生む。クライアントとグロースハッカーとが共に築いていく成長のスパイラルこそが、Kaizen Platformの肝といえるだろう。

日々成長を続けるKaizen Platform

このような特長をもったKaizen Platformだが、機能のアップデートも豊富だ。最近ではクライアントとグロースハッカーとが簡単にコミュニケーションをできるチャット機能や、デザイン案をKaizen Platformのアカウントを持っていないユーザーにも共有することができる一時共有機能などが盛り込まれた。

図:デザイン案の共有機能
図:デザイン案の共有機能(Kaizen Platformオンラインヘルプより)

さらに注目すべきは、2014年9月16日のプレスリリースだ。

Kaizen Platform, Inc. が提供する「Kaizen Platform」が、広告配信事業者各社と連携し、広告クリエイティブとランディングページを横断する効果最適化への対応を開始

詳細はリンク先のプレスリリースを参照していただければと思うが、広告のテスト結果に応じてLPの出し分けを行う機能が新しく開発されるとのことだ。例えば赤い色調と緑の色調の広告をA/Bテストして、緑の色調の広告の効果が高そうだとなった場合に、それに対応した緑の色調のLPを自動的により多く表示させる、といったことが可能になるようだ。またメールやソーシャル広告など、様々な広告ソリューションへの対応の開始も発表されており、今後の展開から目を離せない。

企業の成長を支えるKaizen Platformもまた、日々成長を続けている。Kaizen Platformには、まさに「KAIZEN」魂が込められていると言えるだろう。

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Kaizen Platform, Inc.
【事業内容】
・Web サービスのUI改善を簡単に実現できるプラットフォーム「Kaizen Platform」の提供


インタビューアー:椎葉 宏、執筆:外山 大

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