@cosmeの姉妹サイト「コスメ・コム」の裏側に迫る!
【コスメ・コム様インタビュー】


コスメ・美容の総合ポータルサイト@cosme(アットコスメ)を運営する株式会社アイスタイルの100%子会社として2008年に設立された株式会社コスメ・コム。姉妹版の化粧品ショッピングサイト「コスメ・コム」を運営している。コスメ・コムでは、クチコミで人気のあるコスメを中心に美容に関する商品を数多く揃えており、クチコミを見ながら買うことができるという安心感から、幅広い年齢層に支持されている。
今回は、コスメ・コムの概要からコスメ通販ならではのマーケティングの工夫などについて、代表取締役の遠藤 宗様、店舗運営グループ/事業開発グループ マネージャーの田島 有希子様にお話をうかがった。(以下、敬称略)

「化粧品を買うならコスメ・コム」と言われることを目指して

椎葉:これまでに何回かマーケティングソリューションを提供している企業にインタビューさせていただき、ブログに記事を掲載してきました。一方で、事業会社のマーケティング担当の方は、どのような課題を持っていて、どのように取り組んでいらっしゃるのか、ということもお聞きしたいと思い、本日はお時間をいただきました。まず、御社の事業規模、ユーザ数、売上などの概要をおうかがいできればと思います。

株式会社コスメ・コム 代表取締役 遠藤 宗様 株式会社コスメ・コム 店舗運営グループ/事業開発グループ マネージャー 田島 有希子様

株式会社コスメ・コム
代表取締役 遠藤 宗様

株式会社コスメ・コム
店舗運営グループ/事業開発グループ
マネージャー 田島 有希子様

遠藤:去年の売上が5.5億円で、その前の年よりも110%程度の伸びです。月間のユニークユーザは80万、ページビューは480万PV、半分はコスメ・コムなどの自社サイト系、もう半分は楽天市場店、Yahoo!店などですね。

椎葉:コスメ・コムが他のECサイトと大きく違うのは、やはり何と言ってもコスメ・美容の総合ポータルサイト@cosmeとの連携だと思います。@cosmeでは商品のレビューが他のECサイトとは比較にならないくらい多く書かれていたりしますよね。そのあたりが@cosmeとの連携の魅力になるのでしょうか?

田島:そうですね、やはりクチコミなどを見ながらお買い物ができる、というのがユーザにとってはひとつの魅力だと思います。クチコミ、つまりは消費者の声によって売上は変わってきます。クチコミをもとに、これから人気が出そうなものを素早く仕入れて売っていくことでお客様にとって本当に良いものを提供していく、というのがコスメ・コムの特長だと思います。

椎葉:品揃え、仕入れという点では、化粧品会社が以前からの販路で販売しているものとは異なるものを扱う場合が多いのでしょうか?

田島:やはり、化粧品を買うならコスメ・コム、と言われることを目指して仕入れを行っていますし、品揃えは多ければ多いほどいいと思っています。ただ、ドラッグストアやコンビニで買える商品をコスメ・コムで買うメリットはあまりないと思っているので、コスメ・コムでしか買えない商品や、先行発売商品、限定商品などを揃えて、お客様にワクワクしていただきたいですね。コスメ・コムに来れば、新たな出会いがある、ということを目指して、商品を選んでいます。

椎葉:なるほど。今お取扱いのある商品数やメーカー数はどれくらいですか?

田島:ブランドでいうと1,500くらい、商品点数が1万点くらいですね。その一方で、@cosmeでレビューされている商品点数は20~30万点くらいなので、まだまだ追いついていない状況です。

小さな改善がマーケティングを大きく変える

コスメ・コム
コスメ・コム( http://www.cosme.com/

椎葉:今、マーケティング施策の中で、売上を上げていくために重要視しているものは何でしょうか?

遠藤:集客自体は@cosmeからの流入もあり、あまり困っていないのですが、いかに買っていただけるお客様に訪問してもらうか、ということを重視しています。細かくSEO対策を行うことで徐々に上がってはきてはいるので、@cosmeとは違い、商品の購買意欲が高いユーザに対するSEOをさらにしっかり進めていきたいところです。

椎葉:流入全体の中で、@cosmeからの流入はどの程度ですか?

田島:50%程度、約半分は@cosmeからです。残りの多くは検索エンジンなどからの自然流入ですね。流入の強化もさらに進めたいですが、1回買っていただいたお客様にいかにリピートしていただくか、ということも課題です。@cosme経由で、何となく初めて購入してくださったお客様に、もう一度購入していただくには、コスメ・コムで買う理由が明確にないと、リピートはしていただけないので。

そのために、購入していただいた方へのフォローとして、初回購入時にクーポンをお送りしたり、メーカーとタイアップしたキャンペーン紹介などの個別のフォローメールをお送りしています。その結果、数%ずつですが、リピート率が上がってきています。お客様の満足度を上げていくことがリピート率の上昇につながると思っており、ウェブ施策だけでなく、ロジスティクスを見直して、お手元に少しでも早く商品が到着するように改善し、「当日配送可能商品」の表示をしたりもしています。
その結果、「早く届いてびっくり!」という声を数多くいただけるようになり、その利便性が理由でリピートしてくださるお客様も増えてきたのではないかと思います。

椎葉:コスメ・コムではトライアルセットのようなことは実施されていますか?

田島:メーカーであれば、自社ならではの商品をまずトライアルセットで、ということもあるかと思いますが、コスメ・コムで買うメリットはやはり一度にいろいろなブランドの商品が買えることだと思うので、単品ブランドだけを積極的に押すトライアルセットは今はやっていません。もちろん、今後お客様やメーカー様からご要望があれば考えていきます。
メーカー様によるご協力の下、商品のサンプルを使ったサンプリングは常時実施しており、「コスメ・コムで買うと、いろいろなメーカーのサンプルをもらえて、試せて嬉しい」という声をTwitterやブログに投稿いただけるようになりました。

椎葉:今、マーケティング上でもっとも重視されているのは何ですか?

遠藤:KPIの話だと、いかにコンバージョンを上げるかですね。普通ECサイトはいかにお客様を集めるか、というところにお金かけると思うのですが、コスメ・コムはそこの費用が0円なんです。その分、UI改善や販促企画、商品の見せ方の改善にお金を使ってコンバージョンを上げていくというスタイルなので、「これをやれば売上が上がる」ということがなかなかなく、一つ一つ小さな改善の積み重ねが重要になります。

椎葉:となると、ABテストなどを頻繁に行われていますか?

田島:もちろんやります。どのようなバナーや動画が良いのかをGoogle アナリティクスを使って計測し改善しています。カートページなど購入導線全体についてABテストなどを重ねていって改善を試みたり、コンバージョンをアップさせるために、できることはまだまだたくさんありそうです。

変化するユーザや環境への対応もしっかりと

スペースシップ 代表 椎葉 宏
スペースシップ 代表 椎葉 宏

椎葉:長い間サービスをされているとユーザ層の年齢も上がってくるのかなと思いますが、売れ筋商品の変化はありますか?

田島:そうですね。コスメ・コムも@cosmeもユーザ層の年齢は上がってきているので、若い層にいかに使っていただくかが課題だと思っています。今のところ30~40代の方によく使っていただいていますが、そちらの層も引き続きしっかりと取り込んでいった上で、若い層を取り込んでいきたいですね。

椎葉:ここ数年で急速に普及したソーシャルメディアなどはどのように活用されていますか?

田島:ソーシャルは、FacebookとTwitterがメインです。Facebookでは9,600人以上のファンがいます。スタッフが商品を仕入れている様子や商品を使っているところなど、あまり購入を押し付けない記事を投稿することで、「こんなふうに仕入れているんだ」「こんな裏側があるんだ」というようなことをお客様にもわかってもらいたいと考えています。

椎葉:ソーシャルメディアでは共感を生み出すことを重視されているんですね。デバイスについてはどうでしょうか?フィーチャーフォンからスマートフォンへのシフトで、売上の比率も変わってきていますか?

田島:現在は、やはりフィーチャーフォンはそれほどでなく、スマートフォンが伸びています。今はPCの方も好調なので、スマートフォンに急速にシフトしているわけではないですが、スマートフォンサイトももっと見やすくしようとか、コンバージョンを上げていこう、というような施策は行っています。見せ方を少し変えただけで、コンバージョンが大きく上昇したりするので、とてもやりがいがあります。

椎葉:比率としては、PCとスマートフォンとフィーチャーフォンそれぞれでどのくらいになりますか?

遠藤:だいたい5:4:1ですね。

椎葉:やはり、もうPC、スマートフォンがメインですよね。デバイスによってコンバージョン率に違いはありますか?

田島:コンバージョン率は、実はあまりデバイスごとでは変わらないです。フィーチャーフォンはリピーターのお客様が多いので若干高いのですが、コンバージョンについては、デバイスよりもむしろ流入経路や流入ページによる違いの方が顕著です。自然検索等からの流入よりも@cosmeからの流入の方が、クチコミを閲覧してからいらっしゃるのでコンバージョンも高いです。あとは、同じ@cosmeからの流入でもトップページから来るお客様はそこまでコンバージョンは高くないですが、商品ページから来るお客様はコンバージョンが高かったりしますね。

リアルとネットの融合と差別化

椎葉:リアルなチャネル(実店舗)とインターネットのチャネル(EC)という観点での質問をさせてください。ネットがリアルに取って代わるという部分ももちろんあるとは思いますが、一方で、ネットで火がついてリアルで売れるというような相乗効果もあるかと思います。実際のところどうでしょうか?

田島:知名度があまり高くないブランドだとそういうことはかなりありますね。知名度があまりなかったからこそネットでお客様が「これは何だろう?どこで買えるんだろう?」となって火がついていって売れる、ということはあります。店頭でいきなり売れ出して、メーカーさんが「何だろう」と思ったら、@cosmeでクチコミが広がっていったり、コスメ・コムで取り上げられたりということだった、ということは結構あるようですね。

椎葉:まずはネットでブレイクして、それがリアルに拡散するんですね。化粧品というのは、直接肌につけるという性質上、試してみないと不安でネットでは売りにくい、ということはあるのでしょうか?

田島:そうですね、やはり化粧品はそこが難しいところです。お客様が店頭で買う理由は、テクスチャーがわかるであるとか、分量や大きさがわかる、ということが挙げられます。なので、コスメ・コムでは、他のサイトではなかなかやっていないような商品の細部までわかるような臨場感ある商品画像の撮影をしたり、手の甲に化粧品の中身を乗せてテクスチャーがわかるように撮影したりというようなお客様目線での見せ方を徹底的に考えています。その結果、コンバージョン率の向上にもつながっています。

店頭ではなかなか商品をじっくりと見にくいですが、ネットの場合には、心ゆくまで商品を見ることができますし、ゆっくり説明文を読めるというような店頭にはないメリットがあります。そのようなメリットを生かすためにも、今後も商品画像撮影や説明文作成などには力を入れていきたいです。他社ができないようなことをしっかりと地道にやっていくことで、ユーザ様やメーカー様にも喜んでいただけると思っています。

椎葉:@cosmeとの連携の中で、リアルな店舗である@cosmeストアとの連携はどのようにされていますか?

遠藤:コスメ・コムで売れたものをリアルの店舗で売ったり、反応の良かったキャッチコピーなどをリアルやネットで相互に使ったり、ということはしています。せっかくなので、お客様にはリアルとネットの両方を使っていただきたいですし、ファンにもなっていただきやすいと思いますし。リアルとネットとの融合、というところですね。

リアルとネットの融合も大事なテーマなのですが、とはいえ、リアルとネットでそれぞれ差別化できる点もあるので、特にECにおけるOne to Oneマーケティングをしっかりやっていきたい、という思いもあります。

単純な「これを買っている人は、こちらも買っています」というようなレコメンドというよりは、「3か月前に化粧品を買われていたので、そろそろなくなりますよね?貴方の肌質などに合わせた化粧品、今話題の化粧品はこちらです。」というような、より個人にフォーカスできるマーケティングが理想ですね。実際、肌質や年齢っていう情報は@cosmeでご入力をいただいているのでそれを活用していきたいですね。

我々はアマゾンと比べれば、そこまでスピードもないですし、送料も負担したりできないので、異なった部分で差別化していきたいと思います。

消費者の声を武器に、これまでの常識を壊したい

椎葉:最後にお聞きしたいのですが、今後の展開として、新しい企画や、こんなことやっていきたいということはありますか?

田島:自社開発商品を作っていきたいですね。すでに一部作って販売もしていますが、我々の原点が「お客様のクチコミを集めるサイト」なので、そこから派生して、お客様のニーズに合った商品を作りたい、消費者の生活に沿った化粧品を作りたい、という思いがあります。自社開発商品によってコスメ・コムで買う理由をより強くしていきたいです。もちろん、自社で作って在庫を抱えることはリスクなのですが、メリットが大きいので、積極的にやっていきたいですね。

椎葉:その場合はメーカーからのOEMで作っていくことになりますか?

田島:はい、さすがに工場は持てないので。ただ、これは非常に微妙な話で、アイスタイルとしてはメーカー様からの広告売上が大きいので、自らがメーカーになってしまうと競合になってしまい中立性を欠くため、話が複雑になる可能性があります。あくまで小売事業のコスメ・コムとしての活動として実施していきたいと思っています。

あとは、いろいろなブランドとのタイアップや新しい企画、今まで我々として扱えなかったものを扱えるようにしていきたい、という思いもあります。化粧品業界は、さまざまな小売チャネルの中でも今までの常識を変えるという壁が非常に高いと思いますが、その壁を次々に壊していきたいとも思っています。

椎葉:なるほど、よくわかりました。今後もユーザの声を大切にしつつ、化粧品業界を良い意味で変えていかれるのを楽しみにしています。ありがとうございました。

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株式会社コスメ・コム
【事業内容】
・化粧品ショッピングサイトの運営


インタビューアー:椎葉 宏、執筆:菊池 紀美乃、写真撮影:北村 健

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